―江差の産業をみつめる―
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桐の花。5月から6月に紫色の花を咲かせます。 | |
町民の森(田沢)の桐の木。約700本の桐の木が並びます。 |
桐工芸を製作実演
江差は北海道で古くから拓(ひら)け、歴史や観光資源が豊富です。そこに住む人々が仕事としてきた産業もさまざまで、大きく展開してきているものや地道に頑張ってきているものがたくさんあります。今回は実演も行っている桐(工芸)を紹介します。
桐がこんなに綺麗(きれい)な紫色の花を咲かせることや、町内に桐が植えられていることを知っていましたか。
江差町には、現在、22ヘクタール、約8千本以上の桐が現存(現存)しています。写真の桐林は田沢町の町民の森で、昭和61年から63年にかけて植えられたものです。つまりちょうど20年たった桐です。
江戸末期から明治にかけニシン漁が盛んな頃、江差町を中心に桐の苗木の植栽が始まり、ニシン網(あみ)の浮きや桐下駄(げた)、昭和30〜40年代には日本海マスはえ縄の浮きの材料として利用されていました。しかしニシン漁の衰退(すいたい)とともに植栽は減りますが、その後、昭和50年代後半から再び見直されていきます。そして檜山が北限となる桐の復興(ふっこう)を目指すため、平成2年に桧山地域桐産地推進協議会が設立され活動を続けています。また、江差町桐栽培研究会も立ち上げられ、桐栽培者に生産・経営を指導するなどの活動を行っており、桐の普及に向けて活動しています。
桐は、他の木と比べて成長が早く、約20年で製材できるようになります。これは、杉で80年、松で40年かかるといわれていることからきわめて早いことがわかります。また、軽くて湿気や乾燥、火に強く、自分で呼吸する性質を持っているため腐(くさ)りにくいという特徴を持っています。また、桐材はやわらかく、優しい肌触りの白木です。たんすや下駄などに加工され昔は身近に活用されており、古くなっても削りなおすことできれいによみがえらせることも可能なため、長く使うことができます。
さまざまな特徴をもつ桐ですが、近年、胴枯病(どうがれびょう)や腐乱病(ふらんびょう)などの病気や、木材取引価格の低迷で、桐の植栽が伸び悩んでいるのが実態です。
桐材 |
製材した桐。白い地肌に木目が美しい。 |
桐は伐採(ばっさい)してから雨・風にさらし約2年間天日で自然乾燥させます。木目(まさめ)を選びながら製材するため、慎重に作業を進めます。写真は石山辰巳さん(柏町)の自宅作業場での製材作業のようす。 |
桐の工芸品 |
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(左)桐たんす。丁寧(ていねい)に手作業で作られたもの。クギも鉄クギではなく、木クギが使われています。
(上)桐材で作られた楊枝(ようじ)入れ。細かい細工が施(ほどこ)されています。
(右)桐短冊(たんざく)。表面がなめらかに仕上げられているので直接筆で書くことができます。 | |
桐工芸ー江差手ほどき工芸館ー
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(写真)下駄の製作手順
(左上)下駄の形になるよう慎重に削っていきます。
(右上)大きく削ったあと、一晩水に浸しやわらかくし、細かい部分を丁寧に削っていきます。
(左中)磨いた下駄にうちくり(木目を浮き出させるために削る)を行います。写真はその道具。
(右中)削って形の整った下駄に土ぬりし、ロウで磨いていきます。
(左下)鼻緒(はなお)を付けて完成。
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桐は昔の私たちの生活に密着したものだったようですが、桐を材料にしたものを今はあまり見かけることがありません。しかし、江差で桐を普及させようと「北の桐をつくる会(松村隆代表)」が平成10年に結成され、これまで桐を材料にしたさまざまな工芸品の普及に努めてきました。
そして観光で訪れる人にも江差の桐を知ってもらおうと、桐下駄の製作実演が町会所会館(中歌町)で行われています。実演指導を行っているのは石山辰巳さん(柏町)。大工のかたわら23年前から自分の山で桐を育て暇ができる冬に桐たんすを製作。自宅などのたんすはほとんどが自作の桐たんすだそうです。
今回取材した桐下駄製作に使う桐材は、木目が合うように目を合わせて板をとるため一本の桐からはあまり多くとれません。そして完成まで手間隙(てまひま)かけて行われるため「そうだなあ、1日に3〜4足作るのでいっぱいだな」と石山さん。このように丁寧に作られた桐下駄は、やわらかい肌触りと風合いが特徴で、愛好者も増えてきています。
手ほどき工芸館では10月までの月1回程度、桐の製作実演を予定しています。そこではご紹介した桐下駄を購入することもできますので、ぜひお立ち寄りください。 |