平成26年第3回江差町議会定例会開催にあたり、町長就任のご挨拶と町政運営に対する所信の一端を申し上げたいと存じます。
 私は、このたびの江差町長選挙におきまして、当選の栄に浴し、本年8月8日付けをもちまして、町長に就任いたしました。
 町民のご支持を賜ったことに感謝申し上げながらも、私にいただいた票は、有権者総数の半分にも満たないという選挙結果を厳粛に受け止め、前任の町長をはじめ、江差町を築き上げてこられた諸先輩方のまちづくりへの思いを受け継いでいくことも私の責任であると考えております。

 私は、東京で生まれ、横浜で育ち、大学卒業後は新聞記者として札幌、江差、帯広の3か所で勤務いたしました。
 江差町では3年間の勤務ではありましたが、江差町は、農業、漁業、商工業をはじめ、歴史や文化など、伝統にあふれた「総合力」のある町であり、私が生活した5ヵ所の中で一番魅力的な町であると感じております。
 道内最古の祭りである姥神大神宮渡御祭、民謡の王様と称される江差追分、江差の景観を代表するかもめ島など、私の心に刻まれている魅力であります。
 その江差の「財産」を大切にしている町民が多くいることの素晴らしさに感銘を受け、「こんな町に生まれたかった」、「江差をふるさとにしたい」、そんな思いで記者時代を過ごしました。
 一方で、どこの地方の町も同じでありますが、人口減少や少子高齢化の進行、産業の落ち込みが大きな課題であります。
 これを解決することは容易ではありませんが、5年後、10年後、更に未来に向かっての町の姿を描きながら「江差で暮らしたい」と願う若者が、しっかりとこの地域に残っていくことができる環境を創っていきたい。
 私の江差への強い思いと愛着が、江差のまちに心を動かしたというのが率直な気持ちであります。
 行政経験が無く、「よそ者」の私ではありますが、町民との対話を重視し、人生をかけて全力で町政に取り組んでいく所存であります。

 人口減少により、高度経済成長期のような右肩上がりの成長は望めませんが、都市部とは違う価値が、この江差町にはあるはずです。
 経済的な豊かさだけではなく、町民一人ひとりの「心の豊かさ」、つまり「この町に住んでよかった」と思える気持ちを追い求めるまちづくり、行政運営に転換していきたいと思います。
「まちづくり」に正解はありません。町民の中にある「まちへの想い」を吸い上げ、町民と協働した行政運営にしたいと思います。

 そのうえで、4つのまちづくりを柱とし、新たな4年間の町政運営にあたります。

 一つ目は、「町内が一丸となったまちづくり」であります。
 これまで行ってきた町政懇談会に代わり、「まちづくり委員会」を新たに創設したいと思います。
 具体的な取組みの方向付けは今後、早急に協議いたしますが、まちづくりの政策課題、或いは、解決の糸口が見つからない課題などをテーマごとに、町民と町長が対話する中で方策を考え、行政運営に反映していきたいと考えております。
 就任し、間もないわけでありますので、私自身が町民と対話することの必要性は言うまでもありませんが、まちづくり委員会が何かを決める委員会とはせずに、テーマに沿って自由に話し合える場を想定しております。
 これまでの町政懇談会における地域要望につきましては、課題等の積上げは一定程度なされているものと考えており、積み残しの地域課題や、取り組まなければならない地域要望は、順次、優先度の高いものから取進めて参ります。
 なお、新たな地域要望や意見等は、都度、日常業務の中で所管課を通じながら対応して参りたいと考えております。

 また、町職員の能力を最大限に生かす「役場改革」にも取り組みます。
 具体的には、まずは職員とのコミュニケーションを図り、一日も早く職員との距離感を無くしたいと思っておりますし、職員の信頼関係を築きたいと考えております。
 そうした点を含め、各課が抱える政策課題の把握のみならず、年代別や各課別の職員懇談会を早期に開催し、ざっくばらんな意見交換ができる体制をつくってまいります。
 役場職員のまちづくりへの考えや提言、そのプロセスを大事に職員と一緒に行政運営を進めたいというのが、私の考えであります。


 二つ目は、「若者が将来に希望が持てるまちづくり」であります。
 若者が元気で活力がなければ、地域社会として高齢者を支えることはできません。若者の定着には雇用の場が必要であることは言うまでもありませんが、地域が子育てしやすい環境をつくることが大切であると思います。

 具体的には、子育て世帯の経済的負担の軽減のため、18歳以下の子どもが3人以上居る世帯の、第3子以降の子供への保育料(幼稚園保育料含む)の無料化を10月から行うほか、これまで中学生(15歳)までを対象としてきた医療費無料化については、18歳までの助成拡大を図るべく平成27年1月からの実施で、今定例会に関連条例の改正及び予算補正をご提案申し上げておりますので、宜しくお願い申し上げます。
 また、「子どもは地域の宝」であり、教育は「未来への投資」だと認識しております。
 江差町は、道内でも有数の歴史や文化を誇る町であり、子どもたちには「ふるさと教育」の充実をはじめ、江差北小・中学校で推進している小中一貫教育の更なる充実と、江差中学校を核とした江差小学校、南が丘小学校の3校による「トライアングルサポート事業」で小中の連携を一層強化しながら、教育の充実に努めてまいります。
 また、外国語教育は、語学の面ばかりではなく国際的な視野を養う意味でも大きな役割があります。そのために、外国語指導助手(ALT)の配置をおこない、世界で活躍する人材の育成に取り組んでまいります。

 
 三つ目は、「農業、漁業、商工業を大切にするまちづくり」であります。
何よりも一次産業がすべての産業の源だと考えます。
 そのため、地域に根ざし努力している農・漁業への支援を強化してまいります。
 農業分野では大規模経営ではできない、手間暇がかかっても高く売れる高単価な農作物の振興を検討します。
 取り組む具体の農産物については今後、農業関係者をはじめ関係機関等のアイディアも活かしながら十分議論を積み重ね検討していくこととしております。
 また、漁業では、安定的な収入を確保するため、現在も取り組んでおりますニシンやナマコ、ウニなどの増養殖事業の更なる拡大を、近隣町や檜山振興局などと連携しながら図ってまいります。

 町内で生産あるいは商品加工したものを、いかに付加価値を付け消費者に届けるのかが、販路拡大のポイントだと考えます。
 生産量が少なく、商品開発が難しい現状にありますが、何ら手をこまねいていては道は開けません。物流面でのハンデもありますが東京や大阪、あるいは札幌などの都市に、江差の特産品やゆかりの品を販売するアンテナショップの出店を検討し、当面は、北海道の「どさんこプラザ」等のワンコーナーをお借りするところからでもスタートし、特産品のPRと外貨を得る方策を検討してまいります。

 また、国の補助金を活用した商店街の街灯LED化などの振興策にかかる諸課題でありますが、本定例会終了後の早い段階で議会全員協議会を開催いただき、今後の取進め方や方向付けについてご説明をし、議会議員の皆様のご意見を賜りたいと存じますので、ご理解をお願い申し上げます。


 四つ目は、「歴史、文化、郷土を観光に生かしたまちづくり」です。
江差の観光を考える上で大きな課題は宿泊施設の不足の問題であります。
 ご承知のように観光客の減少により宿泊施設の閉鎖が続いている中にあって、特に姥神大神宮渡御祭や江差追分大会時のように全道、全国から来町していただく方が地元に宿泊できないという実情にあり、なんとか出来ないかという声が多くあります。
 一方で、現在の宿泊施設は、稼働率が一年間を通じて高いわけではなく、宿泊施設問題は、そう簡単に解決できるものではありませんが、新幹線が開業される平成27年度末以降は、少なからず道南への入込客は増えるはずであり、観光振興策の強化とともに宿泊施設の誘致対策にも努めてまいります。

 また、町内にある既存の宿泊施設が廃業せず、観光客にとって魅力的な施設にするため、改修などに対する財政的な支援を積極的に検討してまいります。
 地元に住んでいる方には当たり前の景観に感じると思いますが、私からはシンボルであるかもめ島や歴まち街区、寺院や石碑の多さなどを含め、江差の景観の美しさは自慢できる観光資源であります。
 景観の美しさを生かしたドラマや映画のロケ地誘致の推進にも意を注いでまいります。
 更に、弱点の一つである体験型観光の充実を図らなければならないと考えております。
 そのため、農漁業作業体験などを目的とした民泊受け入れ体制の構築などで、新たな魅力ある観光づくりを進めてまいりますし、「姥神大神宮渡御祭」の保存伝承はもとより、更なる観光振興に結び付けるため、「道指定無形民俗文化財」の指定を目指し、関係者並びに関係機関への働きかけをしてまいります。

 今、人口減少問題による地域存続のための議論が全国各地で巻き起こっております。国の施策にも期待しておりますが、地域自らも人口減少に少しでも歯止めをかける施策を考えなくてはなりません。
 対応可能な処方箋を私も真剣になって考えてまいります。

 高齢者世帯や一人暮らし高齢者が増加している状況を踏まえ、見守りや支えあいなどの高齢者対策の充実も図らなければなりません。
 行政のみならず地域の協力を得ながら一層取り組みを強化してまいります。
 また、養護老人ホーム「ひのき荘」の課題については、早期整備に向けた検討と協議の再構築を図るべく、取り進めてまいります。

 行政、議会が汗をかき、そして町民の理解のもとで財政の健全化が一定程度、図られたことに敬意を表します。
 しかし、依然として厳しい環境に置かれていることから、行財政改革への手を緩めずに取り組んでまいります。

 年の若い私が町長となったことに、様々なご意見があることも承知しておりますし、注目されていることも理解しておりますが、この機会を全国に江差をアピールできるチャンスに利用したいと思っております。
 その一つに、「ふるさと納税制度」の見直しを考えております。
 政府もふるさと納税制度の改革を打ち出しておりますが、寄付者の増による歳入の確保という点だけではなく、地域の特産品を寄付者に送る仕組みを検討し、生産者あるいは商品販売者等に還元され、少しでも地域経済のプラスとなり、更には全国に江差の魅力を発信するきっかけにしたいと考えております。


 以上のとおり、私の所信の一端を申し上げましたが、具体的な政策の詳細や導入時期等につきましては、各所管課や庁内議論のみならず議会とも協議を進めながら、また、財源対策も必要となってまいりますので、町財政の状況を踏まえながら出来るものから着実に取り組んでまいります。
 私は江差の魅力を発信する「セールスマン」になるつもりであります。
 魅力ある町を後世に残していくため、職員一丸となって粉骨砕身尽力する決意で、町政運営の舵取りをおこなってまいります。
 町民の皆様、町議会議員の皆様、そして職員の皆様、どうぞ心を一つにし、共に「明日の江差町のために」新たな道のりを歩んで頂きますようお願い申し上げ、私の所信表明とさせていただきます。

 宜しくお願い申し上げます。