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平成30年2月15日「路線バスで感じた心の豊かさ」

 札幌出張の帰路、最寄りのJR駅から路線バスに乗車しました。最寄りと言っても江差まで約70キロ。2時間弱の長旅は、テレビでよくやる「路線バスの旅」さながらです。駅からの乗客は私を含めて5人でした。

 峠に入ると、体が大きく傾くほどのカーブの連続です。携帯電話の電波も通じません。「これからカーブが続きますので、お気をつけてください。また、何かお気づきの点がありましたら、ささいなことでも遠慮なくお伝えください」。運転手の優しい言葉が車内の雰囲気を和やかにしました。私はヘッドホンで音楽を聴きながら、車窓を眺めたり新聞を読んだりして時間を過ごしました。

 峠を越え、少しずつ民家が点在する地区に入り、新たな乗客を乗せるために停留所に停まりました。すると、すでに乗車していた、つえをついた80代と思われる女性が、遠慮がちに運転手に何か伝えている様子が目に入りました。運転手はマイク越しに「何もあそこまで我慢することないですよ。あそこの商店でトイレを借りてきてください」

 運転手の返答の感じから、女性はトイレを行きたくなり、20分ぐらい先にある「道の駅」のトイレに行かせてほしいというお願いだったようです。促された女性はゆっくりとバスを降り、雪の中、商店に入って行きました。

 乗客の誰一人、嫌な顔をしないばかりか、むしろ、商店へ向かう女性が雪道で転ばないか、心配そうに見つめる姿が印象的でした。

 用を足した女性がほかの乗客に向かって深々と「どうもすみませんでした」と言って乗り込み、8分遅れでバスは停留所を出発しました。

 ふと、思いました。都市部でもし、同じようなことが起きたらどうだっただろうか。きっと、1人のために発車が遅れることに対して、ほかの乗客はイライラしたのではないでしょうか。

 1分1秒を争うのではなく、乗客同士、住民同士が同じ時間を共有できる楽しさ。これこそが地方の魅力だと感じました。都市部から北海道へ移り住んで今年で11年目。あらためて地方の暮らしの楽しさ、「心の豊かさ」を実感できるできごとでした。

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