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義経がつくった島々

鴎島鴎島から奥尻は良く見えます。左にはかつて大きな噴煙を上げていたという大島も眺望されます。北海道に登場する義経には二つの姿があります。善人義経と悪人義経であります。どちらかというと、北海道を二分する日高山脈を境に、東は悪人、西は善人の義経像が浮きあがります。悪人説は多分心ない和人がアイヌの人々をだました話が発生の根底にあるのでしょう。
昔、日高の海岸に義経が小舟を漕ぎ寄せてきました。日高の首長の家に滞留するのですが、首長の一人娘と恋仲になる。よくある義経伝説のパターンではある。やがて二人は夫婦の契りを結びました。
首長の家には秘密の穴倉があって、その中には魔法の巻物があった。その巻物はどのような事態に合っても、たちどころに解決してくれるという素晴らしい巻物でありました。
それを知った義経はどうしてもその巻物が欲しいと思うようになりました。しかし、首長は大変用心深く、常に娘に言い聞かせていました。
「たとえお前の夫であっても義経はシャモなのだ。シャモに心を許してはならぬ」と。義経は日に日にその巻物を手に入れたいという気がつのり妻である首長の娘に言う。
「わたしは今まで、日本で鞍馬の山中で天狗から巻物を授った事があった。素晴しい巻物であったが、首長殿の巻物には到底及ばぬものでしょう。是非一度見せて下さらぬかと父上に話してくれ」
娘から話を聞いた首長は、だが頑としてこれを拒む。
「義経どのはお前の夫となってまだ日が浅い、巻物を見せると必ずお前を捨てて出て行くに決まっている。どのようなことがあっても決して見せてはならぬ」
義経が滞留して半年が過ぎた。首長の娘は何時しか義経の子を宿していた。父が信じられないといった義経でも、まさかわが子を捨てることはあるまい。首長の娘はそう考えていた。
やがて秋も深まり、冬を前にして、首長はコタンの者たちと一緒に狩りに出かけて行った。義経は首長の娘が一人になると、
「わたしも子供ができ、アイヌの仲間になって首長殿を父上と仰ぐ身、やがてこの家もわたしの物になるだろう。それ故、家の中にわたしのわからぬ物があっては何かと不便、どうかわたしに魔法の巻物をはじめ、わたしの知らないものはことごとく見せてくれ」
義経の懇願を妻である娘は強く断ることはできませんでした。
妻に案内されて秘密の穴倉に入り、魔法の巻物を手にすると、義経は巻物を見ているふりをして、妻のすきをうかがっていたのだ。
妻が義経の素振りに不審をいだき、はっと顔色を変えた時には、義経の姿は穴倉を飛び出し、樹間を縫って海岸の方へ走っていた。
「義経さま!義経さま!」
首長の娘は狂ったように後を追ったが、身重のためになかなか思うように走ることができず、海岸に出た時には、義経は小舟を操り沖へ向かって漕ぎ出していた。
非情な義経は決して後を振り返ることはなかった。叫んでも無駄だとわかると、首長の娘は海辺の砂の上に泣き崩れて悲しむよりなかった。
その頃、狩りに出ていた首長は、鳥の鳴き声が何時もと違うのを聞き、変事が起こったのではと大急ぎで帰ってきた。一人海辺で泣き崩れている娘から事の仔細を聞いた。
「あれほどシャモである義経には心を許すでないと言っておいたのに」
と、激しく怒ったが
「それにしても留守を狙って娘をたぶらかして行くとは許せん!いまに見ておれ!」烈火の如く怒った首長は、秘密の穴倉に隠していたもう一つの宝、「一漕ぎ千里」を走るという摺を取り出して義経の後を追った。
首長の小舟はたちまち義経に追いついた。義経は怒り狂った首長の姿を見て、驚きと恐れで一度は顔色をなくしたが、すぐさま奪った巻物を思い出し、これを開くや、
「島よ出でよ!」
と天に向かって叫んだ。そうすると突然「大島」と「小島」が現れ、首長の行く手を遮った。しかし首長はすぐさまこの島をまわって義経にせまったので、義経はまた叫んだ。
「島よ出でよ!」
すると今度は、先程の大島、小島より数倍も大きい「奥尻島」が忽然と現れた。首長がその島をまわっている内に義経は姿をくらましてしまった。
義経を見失った首長は家に戻って再び娘を怒ってはみたものの、目を泣きはらし、悄然とうなだれている娘をみると、娘もまた哀れであった。
海の色が変わり、風の音が変わり街が冬ごもる頃、島に出て沖を見続けていると、義経とそれを追走する首長と、二隻の舟を見ることがあるかも知れません。幻想のように。

「民話・伝説・史話 -江差百話-」より

 

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