年代それぞれ、江差に現在住んでいようがいまいが、江差人の祭りへ寄せる思いは熱い。それが祭り期間、人口1万人の江差が5万人に膨れ上がる要因と言えるのかも知れない。

故郷

江差を離れて生活している方と合うと、決まり文句のように「姥神さんのお祭りには帰ります。」「お祭りに遊びにいらしてください。」と言い交わす。
出身者同士では、「お、元気か、久しぶりだな。最近田舎に帰ったか?お祭りに一緒に帰ろうか。」「そうだな、一緒に帰るか。」お祭りを仲立ちに挨拶がかわされる。これが何より心のこもった挨拶と言える。

帰郷

8月7日頃から江差の人口が増加しはじめ、10日、11日の両日には、各家庭は数倍にも膨れあがり、久しぶりに若者が目立つようになる。近隣の町まで含め、旅館という旅館も満員となる。こうして13日のお墓参りを済ますと、ふだんの江差に帰っていく。
そのころから風は秋を感じさせる。

江差の母さん(1)

この祭りを陰で支えているのは、女性(母さん)の方々。
この祭りばかりは、正月にひけをとらない御馳走がテーブルを埋める。
赤飯、ウニ、アワビ、ツブ、煮しめ、ソーメン、刺し身、オードブルといった料理を用意するのは母さんの仕事。
何日も前から、献立を考えたり、仕込みをしたりと祭りでわが家に訪れるお客さんに充分なもてなしを出来るよう母さんたちは孤軍奮闘。もちろん、これだけの御馳走を用意するのだから出費もかさむ。
そこは、1年に1回の祭りに恥ずかしいものは出せないと、江差の母さんも太っ腹になる。
祭り当日、「結構なお祭りでーす」と友人、知り合い、知り合いのまた知り合いといった具合に、ぞくぞく家に上がってくる。そこには、見たこともない人たちもたくさんいるが母さんたちは、ビール瓶を両手に抱え、「いらっしゃい、遠慮しないで何でも食べて飲んでいって」と気軽に声をかける。
「母さん、ビール、母さん、ソーメン」のんきにコップを持つ男たちとは対象に、母さんたちは家中を駆けめぐる。(ビール、ジュースなどは、冷蔵庫に入りきらないので、風呂の浴槽に大きな氷を入れ、何ケースも冷やしておく家もかなりある)この出入りが入れ代わりたち代わり続く。
母さんたちはもうくたくたになるが、「母さんおいしかったよ。御馳走さん、また、来年も寄るよ」の言葉に、満足感を覚える。

江差の母さん(2)

山車が1日の巡行を終わり、それぞれの宿に戻ってくる頃、地域の母さんたちが、ごちそうを作って子供たちや男たちを迎える。
「ご苦労さん、疲れたでしょ、一杯飲んでゆっくり休んで」の声に男たちは安らぎを感る。まだまだ、母さんたちの仕事は終らない。
夜中の12時を回ってから洗濯機を回す。汗でびっしょりぬれた半纏、汚れた足袋、豆絞り。
朝、1番に起きて、半纏、浴衣のアイロンがけ、子供たちや男たちが祭りにでかけるまでの準備をいっさいする。
みんなが、出ていったあと、母さんたちも一緒に山車につく。子供たちへのおやつ配りなどの手伝いなども母さんたちの仕事。
夜になり、祭りは一気に盛り上がり引手のボルテージも最高潮にたっすると、母さんたちの心配も増える。
子供たちは怪我をしないか、お父さんは飲みすぎグロッキーしないか、けんかをしないか、母さんたちの心配はつきない。
無事3日間のお祭りが終わると、1年の大きな仕事を終えたという充実感を感じるという。
こんな江差の母さんたちに支えられて、江差のお祭りが成り立っている。

江差の母さん(3)

山車の行列が通っている家の前で、外に電話の受話器を向けている婦人をよく見かける。
何かの都合で祭りに帰郷できなかった息子や娘、孫たちに、祭り囃子を、祭りの雰囲気を電話で送っているのである。

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