一口豆腐

近所の若い者が集まっているところへ、ぶらりとやって来た繁次郎。
「どうだおめえたち、俺と賭けをやる者はいねえか」
「また一杯食わせる気だべ」
「ま、聞けてば。
 あのな、豆腐一丁ば四十八に切って、一口ずつで食うんだ」
「そったらこと、赤ビッキ(赤ん坊)でもできるべせ」
「本当だな。いいか豆腐を四十八に切って、一つずつ食うんだぞ。
 見事に食った者にァ一升やるが、もし食い切れなかったら俺がそいつから一升もらう」
こんなわけで早速一升の賭けが始まった。
豆腐一丁がまな板に上げられると、うやうやしく包丁を取り上げた繁次郎は、まず豆腐の小口を薄く一枚に削り取り、それをコチャコチャと四十七に刻んだ。そして残った大きな豆腐と合わせて四十八を相手に差し出し、
「さ、見事に一口ずつでマグラって(食べて)みろ」
どんな大口を開けても最後の一口だけはなんともできず、この賭けは繁次郎の勝ちに決まった。

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