似ちがい

繁次郎の隣りに年頃の若い者がいて嫁を探していた。
その向いに新婚ホヤホヤの一組がいて若い者に熱いところを見せつける。
その嫁さんは別ぴんのうえに気立てもよかったので、嫁を探していた若い者は、口癖のように“俺もああいう良い嫁コもらいてえなあ”といっていた。
このことを小耳にはさんだ繁次郎、ある日のことまかり出て、
「あに、おめえもそろそろ年ごろだあ。
 どうだ向いのおの嫁コはなかなかいいでねえか。
 俺の知り合いの家にもあの嫁コとそっくりのメラシ(娘)いるんだが、おめえとなら全く似合いの内裏様だなあ」
と持ちかけたので若い者は有頂天。酒やご馳走を振舞って仲人を頼むということになった。
「繁次郎さん。くどいようだがその娘は本当に向いの嫁コに似ているのかね」
「似てるもなも、なにもかもそっくりだてば、双子みたいもんだ」
得意の口車に乗せておいて、熊石から連れて来た。
さぞかし別ぴんならんと花ムコが綿帽子を取ってみたらこれいかに、頬から首にかけて大きなヤケドの跡。
肝を潰した花ムコが半ベソで、
「繁次郎さん。あれでも向いの嫁コさ似てるってのかね。ホッペ(頬)が焼けてテカテカでねえか」
一膝さがってすっとぼけた繁次郎。
「嫁コの頬が焼けていたって?それァ本当か。
 俺ァまた似てる似てる(煮てる)とばかり思っていたが、焼けていたのかや・・・」

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