やき芋

ある晩、友達の家の前を通ると、芋を焼くにおいがした。
鼻をクンクンさせながら、入って行くと悪いやつが来たとばかりに芋に灰をかけて隠してしまった。
繁次郎は平気な顔でいろりに座り込み、まじめな顔で、
「きょうは、相談ごとあって来たんだ」
「相談?」
「実はな、思いがけねえゼンコ(金)が手に入ったもんだしけ、家ば建てるかと思って」
「繁やい。カラウソも大がいにしろでや」
「いや、全くの話だ」
吊り込まれた友達に、
「そこで間取りの相談だども」
といいながらいろりの火バシを取り上げ、
「先ンず、この方角から柱建てて...あれや、芋でねえか、やあや、辞儀なしに(遠慮なしに)ご馳走になるど」
とムシャムシャやってから、
「そこで話の続きだども...間口ァ五間のつもりだしけ、この方角さ八寸角ば一本...あれァ、ここにも芋だてば・・・」
友達は大あわてで、
「繁やい。負けたでや」
と芋を残らずご馳走すると、タラフク食ったこの男に帰りがけに、
「こんど芋焼いたら、しかせで(知らせて)けろ。まだウラグラ(雑倉)の話ァ終わっていねえしけ」

プリンタ用画面
前
似ちがい
カテゴリートップ
民話「江差の繁次郎」
次
二人前