令和４(2022)年　年頭のご挨拶

　新年明けましておめでとうございます。町民の皆様におかれましては、健やかに新春をお迎えのこととお慶び申し上げます。本年もよろしくお願いたします。昨秋の江差は、平均気温が過去最高となり暖かな日が続きましたが、秋の末が過ぎるとやはり、たば風が吹くいつもの江差の冬となりました。体調管理にはくれぐれもお気をつけていただきたいと思います。
　昨年も、おととしに引き続き結果的にコロナ一色の一年となりました。１年延期された「東京オリンピックパラリンピック」は異例の無観客での開催となり、デルタ株やオミクロン株といった変異株の出現もありました。ただ日本の場合、感染拡大予防の対策が浸透したことに加え、ワクチン接種も進んだこともあってか、世界各国と比べると比較的感染拡大が抑えられている状況です。
　江差町でも大きく感染が広がったり、クラスターが発生したりすることがなく推移できていることは、町民の皆様のご協力のたまものです。感謝を申し上げます。
　しかしながら、コロナによる生活上、経済上、社会上の負担は増すばかりです。こうした状況をしっかりと把握してコロナ対策につなげようと、昨年１０月から１１月にかけ「まちづくり懇話会」を開催しました。昨年度よりもお声がけする範囲を広げる形で、町内会・自治会や産業別、PTA役員や医療・福祉団体など、分野ごとに計11回延べ７５人の皆様に出席していただきました。
　「子供たちは行事が中止や縮小する中で楽しみが減っている。居場所づくりを」
　「３密回避のために制限されている町内会活動再開のきっかけをつくってほしい」
　「祭り中止もあり文化伝承の発表の場が失われている。何らかの機会創出を」
　出された意見はどれも切実なものでした。こうした皆様の声を受け、国からの地方創生臨時交付金などを活用し、令和３年度は計３１事業、総額１億４７６２万円のコロナ対策を講じてまいりました。子供の居場所づくりに対する２事業に２６９万円、町内会自治会活動支援に３２２万円、文化伝承支援に１５０万円を計上したほか、経済対策として、減収した事業者への緊急給付金事業に３５００万円、農漁業者向けの経営持続支援事業には計１７３０万円などをおこなってまいりました。今後も、コロナの情勢を見極めながら、必要な支援策を迅速に行ってまいります。
　昨年はこのほかにも、まちのシンボル「かもめ島」の拠点計画「北の江の島構想」として、「マリンピング」事業を展開。コロナ禍で需要が伸びてきている豪華なキャンプ施設「グランピング」テントや「手ぶらキャンプセット」を日本財団の助成で整備しました。今後は、どんな季節・天候でも伸び伸びと親子連れが室内で楽しめる拠点化のための構想の具体案を提示してまいります
　また、「公立はこだて未来大学」と江差町は昨年９月、包括連携協定を締結しました。AI（人工知能）の研究が盛んな同大学の知見を、地域の活性化や少子高齢化対策に活用していくことが目的です。早速１１月には江差小学校で、同大学特任教授によるAIの授業をおこないました。
　おととしから連携している「サツドラホールディングス株式会社」とは、地域ポイントカード「江差EZOCA」の取り組みを始めました。これまで町内で普及していた「追分カード会」のポイントカードと連動する形で約４０店舗の加盟でスタートしました。これまでに５３００枚以上が発行されています。このポイントの一部は江差町へ還元される仕組みです。このお金を使って、各種検診の受診率の向上やボランティア活動の普及、町内イベントの集客アップなどの取り組みに活用していきます。
　今年は、サツドラとはこだて未来大学との両者の協力をいただきながら、交通政策の充実に取り組んでいきます。２月の１か月間、バス停まで距離がある新栄町・愛宕町・豊川町など下町エリアの皆様を対象として、上町の商店などまで運行する乗り合いタクシーの実証実験をおこなう予定です。スマートフォンなどで交通手段の検索や予約、決済を一括でできる「MaaS（マース）」と呼ばれる仕組みで、AI技術も取り入れながら効率的な運行形態を模索していきます。
　コロナ禍は負の側面ばかりではありません。こうした民間企業や大学との連携や、かもめ島の「マリンピング」事業などは、コロナ禍だからこそ出てきた社会変革による動きだと思っています。地域の活性化、少子高齢化に生かすため、今後も積極的な取り組みにチャレンジしていきたいと考えています。
　本年も町民の皆様の声を真摯に傾聴しながら、役場職員が最大限の力を発揮できるように奮起を促し、全身全霊で町政運営に当たってまいります。あらためまして、本年もよろしくお願いします。