Ⅰ 町政に臨む基本姿勢と予算編成方針

 令和7年第1回江差町議会定例会の開会にあたり、町政執行への所信を申し上げます。

 新型コロナウイルス感染症が5類へ移行されてから2年、多くの分野で社会経済活動が正常化しています。しかし世界に目を向けますと、地球規模での気候変動の深刻化が人々の生活環境に様々な影響を及ぼしており、また各地で続く紛争は未だ終結の道筋が見えません。一方、国内では、少子高齢化の進行、新型コロナの流行を経験したことによる人々の価値観の変化や地域社会の変貌に加え、不安定な海外情勢による原油価格・物価高騰が、地域経済や住民生活の大きな課題となっています。

 こうした情勢変化や行政課題にも的確に対応するため、行財政の見直しに努め、所信表明で掲げた施策を着実に進めながら江差町の成長を加速させるとともに、住民の生命と財産を守ることを最優先に、誰もが自分らしくいつまでも安心して暮らしていける共生・共創の地域づくりに取り組み、次代を担う子どもたちの育成と若者の活躍を応援し、総合計画の将来像「誇りある暮らしを未来へ紡ぎ、みんなでつくる自分たちごとのまちづくり」の実現を図るべく予算編成を行ったところです。

Ⅱ 主要施策の展開

(1)3つの重点施策について

 人口減少・少子高齢化という課題は、江差町にとっても避けられない現実ですが、これを悲観するのではなく、新しい未来を切り拓く取り組みを進めていかなければなりません。雇用機会の創出や暮らしやすい環境を整備することで、人口の流出を抑制し、若者層の定住促進を図るとともに、地域外からの移住者の受け入れを進め、力強いまちをつくってまいります。

 こうした考え方を踏まえ、令和7年度の重点施策として、「地域の活性化を目指した取り組み」「再生可能エネルギーに対する取り組み」「住民生活の向上と安全・安心のまちづくり」を掲げながら各種事業を展開してまいります。

 まずは「地域の活性化を目指した取り組み」に関してです。

 「北の江の島構想」の推進に関しましては、民間活力導入による施設整備・運営を進めることとし、公設民営のDBO方式を採用することといたしました。現在、公募型プロポーザル方式により事業者を選定するための公募手続きを進めているところであり、6月には、優先交渉を行う事業者を決定し、令和9年度のオープンを目指して整備を進めてまいります。

 旧江光ビル跡地に整備した「コミュニティプラザえさし」は、オープンから間もなく1年を迎えます。小学生・中学生などの集いの場としての利用のほか、多くの町民、団体の皆様にご利用をいただいております。商店街、あるいは、まち全体の賑わいに波及するよう運営してまいります。

 ふるさと納税の取り組みについては、財源の確保の面だけではなく、地域の生産者・事業者の育成、新商品の開発、商品の販路拡大等にもつながる取り組みです。引き続き、生産者・事業者と連携を深め、産業振興につなげてまいります。

 移住施策としては、新たに地域おこし協力隊3名の配置を進めます。農業における労働力・担い手の確保、観光まちづくりにおける人材の確保を図るとともに、町への定住・定着を図ります。

 

 2つ目に、「再生可能エネルギーに対する取り組み」です。

 檜山沖における洋上風力発電事業の早期事業化に向け、漁業振興や江差港湾の活用、関連産業の育成・誘致など地域経済の活性化と地域との共生が図られるよう、取り組んでまいります。

 また、令和6年度に再生可能エネルギー検討協議会の議論を通じて、江差町地球温暖化対策実行計画区域施策編に地域脱炭素促進事業における促進区域の設定を行っており、引き続き、ゼロカーボンシティの実現とエネルギー供給地としての地位の確立に、一体的に取り組んでまいります。

 

 3つ目は、「住民生活の向上と安全・安心のまちづくり」です。

 災害時に緊急情報等を収集し、迅速かつ円滑に、携帯電話や戸別受信機等を通じて住民へ伝達する「防災情報伝達システム」について、令和8年度からの運用に向けて整備してまいります。

 災害備蓄品については、能登半島地震により甚大な被害を受けた友好都市珠洲市へ町職員を派遣した経験等を踏まえ、厳冬期における対策なども進めてまいります。

 人口減少に伴い、町内で増加する空き家の実態調査と所有者の意向把握を行うとともに、住宅地図データとの連携を図り、総合的な空き家対策を進めてまいります。

 子育て環境の整備に関しましては、老朽化が進んでいる日明保育園、水堀保育園については、令和8年度の統合に向けて、移転改修に取り組むほか、令和7年度から新たに日明保育園で土曜保育と日曜日を含む休日保育を開始するなど、働く保護者の支援充実を図ります。

 交通施策としては、令和6年度から本格運行を開始した「江差マース」について、週3日から週5日へ運行日数の拡大、乗降地点の増加などサービスの拡充を行い、住民の利便性の向上を図ってまいります。

 

(2)産業基盤の維持・強化のまちづくり

<未来への礎をつくる町政の推進>

 我が町の観光は、日本遺産ストーリーに代表されるように、ニシン漁と交易によって栄えた歴史や文化が今なお楽しめることと、その礎となった町のシンボル「かもめ島」で展開している「マリンピング」など新たなアクティビティを体感できることが強みの一つです。

 その強みを最大限に活用し地域経済や町の活性化を図るため、令和6年度に文化庁のモデル事業で実施した日本遺産魅力増進・発信事業のブラッシュアップに取り組むとともに、マリンピング事業の推進に対し引き続き支援を行ってまいります。あわせて、地域おこし協力隊員の募集などにより体制の強化も図り、来訪者に満足度の高い観光を提供する仕組みを構築してまいります。

 海水浴場の運営に関しては、前浜・えびす浜の海水浴をより快適に楽しんでいただくため、シャワー室を温水化いたします。

 江差追分の普及伝承に向けては、引き続き、町民の皆様をはじめ多くの方々に、江差追分の魅力を感じていただくよう江差追分会とも連携しながら取り組んでまいります。

 主要観光施設である開陽丸記念館は、現在、展示リニューアル、外装改修の基本設計を行っているところです。展示リニューアルについては、実施設計に向けた整理を行ってまいります。また、外装改修については、改修工法の検討を行い、工期・工事費・復元性などを総合的に判断し、改修計画を策定してまいります。

 地域の課題を解決し、地域の活性化を図る上で、企業や大学との連携も重要な役割を果たしています。連携協定を締結しているサツドラホールディングス株式会社との事業展開については、これまでも福祉・健康・交通など多岐に渡り、行政だけでは作り上げることができないサービスを提供できており、更なる連携強化を図ってまいります。大学との連携については、これまで、北海道教育大学函館校、公立はこだて未来大学と連携協定を締結し、地域課題の解決に取り組んできました。令和7年度においては、事業承継等の課題解決に向けた小樽商科大学との連携も予定しており、今後、連携する分野の拡大を図り、連携協定締結も視野に入れながら協議を進めてまいります。

 

<地域産業力の強化と地域経済の活性化>

 人口減少や高齢化に伴う担い手不足に加え、資材・物価高騰など様々な要因により地域における全ての産業が影響を受けており、複合的な対策を切れ目なく推進することが求められています。

 農業分野については、引き続き、北海道を事業主体とした「農業競争力強化農地整備事業」の円滑な実施に努めるとともに、生産性と収益の向上を図るため、「豊かな産地づくり総合支援事業」を継続するほか、スマート農業等の省力化・低コスト生産技術の導入などを推進してまいります。

 担い手対策では、地域おこし協力隊員の募集を行うほか、令和7年度に1名の新規就農が見込まれており、「江差町産業担い手育成奨励金」や国及び北海道の補助事業を活用し、経営開始時の早期の経営基盤の確立に向けた支援を行ってまいります。

 また、10年後の農業のあり方や農地利用の姿を明確化した「地域計画」や「目標地図」を地域の農業者や関係機関と協議を深めながら策定し、担い手が農地を引き継ぎやすい環境を作るとともに、守らなければならない農地の選定に努めてまいります。

 林業分野については、町有林の適切な保育管理に努め、森林環境譲与税を活用した補助事業により、私有林の森林整備の推進を図るとともに、将来の森づくりの推進に向け、檜山南部森林組合をはじめとした林業関係団体とも協議を継続し、江差の森づくりを推進してまいります。

 また、町民の森における、げんきの森活動を通じて、森林環境教育の充実を図り、子どもたちの森林に対する意識の向上に努めてまいります。

 有害鳥獣対策につきましては、ヒグマやエゾシカによる人的被害・農業被害の未然防止のため、電気柵の貸出や購入費の助成を継続して実施します。

 さらに、狩猟免許及び猟銃所持許可の取得・更新等に対する支援を継続し鳥獣被害対策実施隊員の確保を図るとともに、実施隊員を中心に地元猟友会や関係機関と連携を図りながら、町民の安全・安心のための対策に努めてまいります。

 水産業については、イカやサケなどの回遊性魚種の漁獲量が大幅に減少し、加えて、漁業者の減少・高齢化が進行していることから、採算性や効率性の観点からも“獲る漁業”から“つくり育てる漁業”への転換を図り、漁業生産の拡大と経営の安定化に向けた取り組みが必要となります。

 トラウトサーモン養殖試験事業は、これまでのところ漁獲量・販売額ともに順調に推移していることから、令和7年度において生簀を1基増設のうえ漁業者による独立事業としてスタートする予定となっており、状況を見極めながら、事業が軌道にのるために必要な側面的支援を進めてまいります。

 こうした取り組みに加え、ナマコ・ウニ・ニシンの種苗放流事業を継続し、更なる漁場資源の維持拡大を図りながら、持続可能な豊かな前浜づくりを推進してまいります。

 商工業においては、人口減少やネット通販利用者の拡大などによる地元での消費の伸び悩みに加え、燃料費や物価の高騰が続いており、さらには事業経営者の高齢化も進んでいることから、町内事業者を取り巻く環境は大変厳しい状況となっています。

 引き続き、商工会・商工団体とも連携し、地域経済を支える町内事業者の各種取り組みを支援していくとともに、大学や金融機関とも連携のうえ、事業承継に関するアンケート調査などを実施しながら、持続可能な商工業の育成に取り組んでまいります。

 

(3)不幸ゼロのまちの実現

 家族、コミュニティ、社会のあり方が変容する一方で、物価高騰などの社会的環境も住民生活に大きな影響を与えています。こうした状況にあっても、当町の強みである「地域力」を活かし、特に福祉やコミュニティ分野において、町民と行政による協働のもと『不幸ゼロのまち』の実現を目指してまいります。

 「江差町犯罪被害者等支援条例」の制定を通じ、犯罪被害者・家族などが必要とする施策を総合的に推進し、犯罪被害者・家族が受けた被害の早期の回復又は軽減を図り、安全で安心して暮らすことができる地域社会の実現を目指してまいります。

 「性的差別ゼロ」の取り組みにつきましては、性的指向や性自認など、性の多様性を認め、尊重し合う施策が全国の地方自治体で広がってきております。江差町においても、互いの個性や多様性を認め合い、誰もが生きがいや誇りを持ち自分らしく活躍できるまちづくりを実現するため、「江差町性の多様性の尊重に関する条例」を制定し、「パートナーシップ宣誓制度」を導入してまいります。

 子育て支援につきましては、「第3期江差町子ども・子育て支援事業計画」並びに「第2期江差町子どもの未来応援計画(貧困対策推進計画)」が、令和7年度からの5か年計画として始まることから、各種の取り組みを通じて子育て環境の充実を図ってまいります。

 また、子育て世帯の負担軽減を図るため、「子育て世帯の新築・中古住宅購入助成」「子どもの未来応援事業」「高校生までの医療費無償化」などの支援施策を継続してまいります。

 高齢者福祉に関しては、高齢者が健康で安心して暮らせる町を基本理念として、地域包括ケアシステムの深化・推進を図ってまいります。多様な地域住民の方々の事業への参画のもと、地域課題を確認し、地域のビジョンを共有しながら、課題解決のための公益的で創造的な活動を行う「地域支え合い協議体」や「ネクストイノベーション」事業を展開し、高齢者にとって必要な支援の考案・創出を図ってまいります。

 また、最期まで尊厳を尊重した生き方を保障できるよう、将来の医療や介護について町民一人ひとりが主体となって、家族や専門職と話し合い、共有する「エエ町えさし人生会議ノート」の取り組みを普及してまいります。

 さらに、インターネットやスマートフォンを活用して高齢者が情報を得やすくするための講座を開催するなど、高齢者のデジタル技術を使いこなす力の向上を図るほか、認知症施策の推進、地域の見守り体制の強化、町独自の高齢者福祉サービスも継続してまいります。

 地域医療につきましては、限られた医療資源を効率的かつ効果的に運用し、南檜山圏域全体で持続可能な医療体制の構築を図るため、平日の救急対応の道立江差病院への集約を進めてまいります。また、看護職員等修学資金貸付制度を継続し、看護師確保に努めます。

 母子保健につきましては、新たに出産時の宿泊費の助成を行い、安全・安心な出産体制を確保するとともに、産後に支援が必要な母子を対象に、「宿泊型産後ケア事業」を継続するほか、助産師によるベビーマッサージ教室を「通所型産後ケア事業」として拡充して実施します。

 不妊治療につきましては、メール相談の普及浸透を図り、これまでの支援メニューを継続し、子どもを望む夫婦の経済的支援を行い、安心して産み育てる環境づくりに取り組むことで、妊娠期から切れ目のない子育て支援を実施してまいります。

 町民の健康づくりにつきましては、地域課題の高血圧対策として、特定健診での尿中塩分測定を実施することで、塩分摂取量を可視化し保健指導に繋げ、健康寿命の延伸に努めるとともに、関係機関との連携による高齢者の生活習慣病及び重症化予防と健康づくりを一体的に実施します。

 また、予防接種法の定期接種に、新たに「帯状疱疹ワクチン接種」が加わります。対象者に対し接種費用の一部を助成し、重症化の予防を図ってまいります。

 

(4)地域・未来を担う人づくり

 教育に取り組む考え方につきましては、令和3年に策定した「江差町教育大綱」が改定期を迎えます。「子どもたちの誰ひとり取り残さない教育行政を推進する」を基本にしながら、これまでの取り組みを振り返り、時代に即したアップデートを行い、同じく改定期を迎える「江差町教育推進計画」とあわせ、地域の皆様のご理解・ご協力、ご意見を賜りながら、教育委員会とともに各種の教育施策を推進してまいります。

 学校教育につきましては、学力向上や支援員の増員による特別支援教育の充実など、子どもたちが将来「江差で学んでよかった」と思える教育環境を作ってまいります。

 また、令和7年度からは江差町が主体的に学校給食業務を運営することから、「おいしい給食」を提供し、常に子どもたちが笑顔で過ごすことができるメニューの充実に努めるとともに、学校給食費の無償化を継続してまいります。

 社会教育や図書館活動については、各種事業や団体などの活動を通じて子どもから成人までの幅広い世代の方々の学習機会の確保に努めてまいります。また、社会教育施設長寿命化計画に基づき施設の適切な維持管理と利用の促進を図ってまいります。

 文化財の保存活用については、開陽丸の調査を継続し、保存・活用に向けた取り組みを進め、開陽丸遺跡と、開陽丸遺物の価値を高めるとともに、歴史文化基本構想について、その目的の具現化に向けて、確実に歩みを進めてまいります。

 

(5)地域を支える社会基盤の整備

 道路や上下水道などの住民生活の基盤となるインフラの老朽化が社会課題となる中、今後はますます効率的で効果的な社会資本の更新や長寿命化が求められております。優先度を見極めながら計画的に実施するとともに国、道などの関係機関と連携し安全で快適な生活環境の整備に努めてまいります。

 町道につきましては五厘沢山崎線の第1工区が完了することから、新たに第2工区の実施設計に着手してまいります。

 橋梁では第3椴川橋架換工事に伴う道路整備を行い、供用させたのちに、既設橋梁の解体撤去を実施してまいります。

 また、橋梁長寿命化修繕計画に基づき次期補修予定となっている鰔川大橋の補修設計にも着手いたします。

 都市計画につきましては、かもめ島入口国道交差点改良に伴う都市計画の一部変更を進めてまいります。

 上水道事業では柳崎地区の老朽管更新工事を引き続き実施するとともに、平成27年度に策定した水道ビジョンの見直しを行い、今後の水道施設の効率的な運営についても検討してまいります。

 公共下水道事業では昨年に引き続き未普及路線の管渠整備として陣屋地区の整備工事を実施するほか、ストックマネジメント計画に基づき新たに下水道管理センターや五勝手中継ポンプ場の監視制御設備の更

新にも着手してまいります。

 また、かもめ島入口国道交差点改良に伴い、上下水道ともに本管の移設が必要となることから、関係機関と連携しながら進めてまいります。

 港湾につきましては、引き続き国の直轄港湾整備事業として「北埠頭フェリー岸壁改修」及び「南埠頭道路改良」を実施し港湾施設の維持・保全に努めるとともに、昨年8月に、江差港西防波堤が「釣り文化振興モデル港」の指定を受けたことから、今後さらに多くの方々が江差港を利用することが見込まれるため、利用者の安全確保や環境保全に向けた取り組みを進めてまいります。

 さらに、道南地域において風力発電事業や砕石事業などが継続的に進められる予定となっており、「新北埠頭」をはじめとする港湾施設の長期的な利活用が見込まれ、港湾施設周辺を含めた中長期的な環境整備が必要となるため、財源確保に向けた港湾使用料の見直しを進めてまいります。

 町有地の安全対策では、緑丘地区町有地法面の土砂流出防止工事を実施いたします。

 町営住宅については、引き続き適切な維持管理に努めていくとともに、将来的な需要見通しを踏まえた予防保全的な維持管理や改善計画等を定める「江差町公営住宅長寿命化計画」を改定いたします。

 

(6)将来にわたり持続可能な行財政運営に向けて

 町が直面している少子高齢化や人口減少、厳しい財政状況の中、さまざまな地域課題の解決や、町民サービスの維持・向上を図っていくためには、デジタル技術の積極的な活用が不可欠となっており、町民目線での行政手続きの簡略化、行政事務の効率化を図るなど、デジタル技術等を手段として活用するデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進します。

 法律により全国の自治体に求められている「自治体情報システム標準化事業」については、令和7年度は戸籍事務、国民健康保険、障害者福祉、健康管理の各業務の標準化への移行を進めてまいります。

 また、当町の人口規模や財政規模などを踏まえた行政のDXの具体化を図るため、昨年度に引き続き、専門知識や経験を有する外部の専門員との伴走を通じた取り組みを進めてまいります。

 

 次に財政運営についてです。

 町税につきましては、キャッシュレス納付手段の拡充や滞納処分を強化し、適正な課税と収納率向上に努めてまいります。

 「ふるさと納税」は、令和5年度の実績が初の2億円を突破し、令和6年度も、前年度を上回る寄附額を確保しております。引き続き、しっかりと安定的な歳入として確保できるよう取り組みを進めてまいります。

 また、企業版ふるさと納税の申し出が増えています。町独自の取り組みをアピールしながらご寄附につながる対策を強化してまいります。

 町は今年の1月、令和4年度に策定した「中期財政運営方針」と「財政基盤強化に向けた取り組み」を改定いたしました。

 その中では、北の江の島拠点施設整備などの今後予定される大型事業を見据え、なお一層計画的な財政運営が必要であるとして、歳入においては、ふるさと納税や企業版ふるさと納税について、具体的な目標を定め取り組むこととしました。また、歳出については、前例にとらわれることなく、見直すべきところは見直し、既存事業の縮小・廃止・統合を進めていくことといたしました。

 さらには、厳しい経済状況が見込まれるなかにあっても、持続的で自律した財政運営を行えるよう、財政規律を確立するため、維持するべき実質公債費比率及び財政調整基金残高の基準を明確に示しました。

 こうした中期財政運営方針を踏まえ、住民の安全・安心を基調としつつ、江差町が誇る豊かな自然環境や恵まれた歴史文化資源を最大限に活用し、豊かで持続可能な行財政基盤を構築してまいります。

 

 その結果、令和7年度予算は

 一般会計、 67億3,400万円 (前年度当初比9.2%増)

 特別会計、 20億7,539万3千円(前年度当初比2.3%減)

 水道事業会計、 6億9,102万4千円(前年度当初比2.1%減)

 下水道事業会計、5億1,853万3千円(前年度当初比7.8%減)

 となったものでございます。

 

Ⅲ むすびに

 令和7年度は、私が令和4年8月に町民の皆様から3期目の町政運営の付託を受けて以来、最後の本格予算執行の年であり、第6次江差町総合計画・後期基本計画5年間のスタートの年です。

 室内遊戯施設を核とした道の駅整備を進める「北の江の島構想」、パートナーシップ宣誓制度導入などの「不幸ゼロのまち」、運行日数拡大により利便性が増す「江差マース」など、「誇りある暮らしを未来へ紡ぐ」ための政策を着実に推進していきます。

 このような政策を推進することができるのも、町内外の民間企業や各種団体、連携協定を結んでいる大学、そして何よりも、町民の皆様のご協力があってこそのことです。こうした皆様の力を今一度結集して、「自分たちごとのまちづくり」のさらなる前進に向け、令和7年度も全身全霊を注いで町政運営にあたっていく所存です。引き続き、皆様のご協力をお願い申し上げ、町政執行方針とさせていただきます。