モデル地区の江差らしい街並み景観・環境の整備の基本理念
- 江差町を代表する顔づくりとして個性ある街並み景観を保全・再生・創造していく。
- 歴史的街並み環境を町のシンボルとして、町民・道民全般の共感を育むものとして保全・継承していく。
- 快適な生活環境の質的・精神的・経済的な向上が図られていく。
- 街並み景観は、地域文化の具現化したものとして、町民合意のもとに形成され、その向上により町民の文化意識の高揚が図られていく。
モデル地区の景観特性(全体的特性)
[ 地形 ]
江差は海岸線に沿う細長い平坦地と、そこから海岸段丘を1段上がって背後の山裾から海岸側に向かって緩やかに傾斜する丘陵性台地からなっており、細長い平坦地に軒を連ねる下町と、丘陵性台地に広がる上町とに大きく分けられる。モデル地区(いにしえ街道)は、18世紀に漁師、問屋、小売商などを中心に形成された下町部分に当たる。
[ 景観特性 ]
モデル地区(いにしえ街道地区)は、津花町から姥神町を通り中歌町に至る旧国道沿いの部分で、時代の経過と共に町の中心が上町に移行し、上町の建造物等が現代的に刷新されていった中で、歴史的建造物が比較的多く残され、限られた空間の中で昔ながらの街並みを形成している地区である。地区内には、それぞれ国の重要文化財と道文化財に指定されている明治初期の典型的町屋である「中村家」や「横山家」を中心に、漆喰塗りの純和風商家、問屋建築や社寺建築,大正から昭和初期の北海道様式ともいえる下見板張りの和洋折衷建物等が並び、連続した中に変化に富んだ街並みを形成している。また、通りはところどころ緩やかに湾曲したりクランク状に屈折しているなど、道路形態にも独自な変化と特徴があり、街並みが進むにつれて場面が連続的に展開していく通りの構成となっている。

■ 町の形成の特性
- 丘陵性台地の上町と海岸線に沿った下町
→見下ろしの瓦屋根景観
→面的に広がる上町と線的に伸びる下町景観
- 19世紀に入って小売商を中心に形成された上町
- 18世紀に漁師、問屋、小売商を中心に形成された下町
→「ハネダシ」と呼ばれる桟橋的機能を持つ木造2階建ての建物
→傾斜地部分の屋根の重なり(見上げ景観)
→山手川には石置き屋根、下見板張りの民家や商家、土蔵
- 日本海沿岸各地にみられる(かつてあった)「ハネダシ」景観
■ 街区の街路特性
緩やかに湾曲した街路
→海岸段丘に沿って湾曲している「いにしえ街道」
→進むにつれて連続的に展開し、期待感を持たせる街路景観
クランク状に屈曲した街路
→姥神神社前の広場で、クランクしている街路
→地区内の中間に位置し、通りの結節点
海側への小路
→かつての水際(現国道)に降りるための建物の間にある小路
→北海道では珍しく現存している歩行者専用道路(幅1.5m程度)
上町と下町をつなぐ坂道(後背傾斜地を登る坂道)
→上町と下町をつなぐ、かつて寺社の参道であった坂道
→丘の道(眺めの良い散策路)の一部で、北海道では珍しく現存している歩行者専用空間(坂道)

■ いにしえ街道沿道の代表的建物様式の共通デザイン原理
- 建物形態の類似性(ボリューム感の類似)
→切妻屋根の多用
→屋根勾配が4~6寸の間のものと石置き屋根の2~3寸勾配
→2階建て、軒高7m程度、棟高9m程度、間口は7~10mの範囲
- 建物の連続性
→詰まった隣棟間隔(空地はほとんど無い)
→街路に対してほぼ一定し、立ち並んだ壁面線
- ファザード(建物正面)構成要素の連続性
→建物の1~2階を分節する庇や胴蛇腹の連続
→下見板張りの外壁の質感や色彩の連続
→切妻屋根によるスカイライン(屋並み)の連続
→開口部の高さや格子戸(窓)の質感の連続
■ いにしえ街道沿道の代表的建物様式による特性
-
関川商店
和風町屋
→木造2階建て、切妻屋根で妻入り、下見板張り
→1~2階の間の庇(ひさし)
→2階の横長窓
-
タイラ時計店
和洋折衷町屋
→木造2階建て、切妻屋根で平入りか寄せ棟、下見板張り
→1階は和風デザイン、2階は縦長窓持ち送り(壁や柱からの突き出し)
→1~2階の間の胴蛇腹や庇
-
北山土蔵
土蔵
→切妻屋根、瓦葺き、妻入り
→漆喰塗り壁、さくり板張り
景観整備後のイメージ(国重要文化財「中村家」周辺地区)
江差町歴史を生かすまちづくり事業について
【お問い合わせ】
〒043-8560 北海道檜山郡江差町字中歌町193-1
江差町役場 建設水道課 都市計画係
TEL:0139-52-6714
FAX:0139-52-0234