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所信表明(令和4年第3回定例会(令和4年9月6日開催))

 令和4年第3回江差町議会定例会の開会にあたり、3期目の所信を申し上げます。
   私は、7月10日に執行された江差町長選挙におきまして、3回目の当選の栄誉を賜り、引き続き町政執行の重責を担わせていただくこととなりました。
  結果として前回に引き続きの無投票ではありましたが、町内各地域でお会いした町民の皆様からいただいたご発言の中には、これまでの2期8年間についての評価だけではなく、厳しいご指摘もありました。

  あらためて初心に帰り、町民の皆様とまちづくりのさまざまな問題意識を共有し、新たな試みにも積極的に取り組み、全力で町政の推進に努めてまいります。議会議員の皆様並びに町民の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。
  
ここに、今後4年間にわたって町政運営の舵取りを担当するにあたり、私のまちづくりに関する基本的な考え方を申し上げます。

 

1.3つの重点プロジェクトを複合させたまちづくりの推進

 先ず、2期目に種をまいたものを、これからの4年間でしっかりと芽を出させて花を咲かせるためのまちづくりを推進するための3つの重点プロジェクトについてご説明させていただきます。 
 1つ目は、旧江光ビル跡地の活用に関してです。
 地域が主体となって国の支援をいただきながら建物を解体して7年が経過します。上町商店街の中心地が空き地のままでは衰退が止まりません。市街地に賑わいを取り戻すため、町民の利便性を高めるという観点でコミュニティを形成する拠点を整備してまいります。
 2つ目は、この町のシンボルである「かもめ島」を中心に、町民の集う場所として、また道南圏を中心とした方々が日常を離れて楽しめる魅力ある場とするため「北の江の島構想」を推進します。北海道江差観光みらい機構により、かもめ島上でのマリンピングや手ぶらでキャンプ、手軽に体験できるサップやウォーターボールなどの海洋体験プログラムの定着を図ります。
 ハード面としては拠点施設の整備を実行します。季節や天候を気にせずに屋内で子どもたちが遊べる機能を中心に据えた「拠点施設」を、現開陽丸管理棟周辺に整備し、えさし海の駅に町内2つ目の道の駅を併設しながら、集客力のある民間企業と連携し町民が日常訪れたくなる購買機能を備える方針です。また、拠点施設からかもめ島はもとより、スイーツをテーマにし「いにしえ街道」へ、あるいは「上町商店街」へと人の流れを作り、まち全体の魅力を活かしながら「道南圏で親子連れ満足度ナンバーワンの道の駅」を目指してまいります。
 3つ目として、公共交通体系の再構築を図ります。
 人口に占める65歳以上の割合である「高齢化率」は、先の国勢調査の結果によりますと38.5%となり、冬場が厳しい江差の特殊事情なども考えると、高齢者が安心して住み続けていくためには、今以上の交通手段の充実が喫緊の課題です。バスやタクシーなど既存の公共交通を補完する住民にとって利便性の高い新たな交通サービス「江差マース」の整備に取り組んでまいります。
 また、この交通体系の整備にあたっては、先ほど説明させていただきました旧江光ビル跡地のコミュニティ施設や、かもめ島入口の拠点施設を結節点として、住宅エリアと商業地エリアとを結ぶことで街なかの賑わい創出に向けた人流の作り出しも目指すものです。

 

2.子育て・教育環境の充実

 子どもへの投資はまちの未来への投資です。
 まち全体で、「子どもは地域の宝」として子育てを応援し、子どもの成長を地域全体で喜び合い、将来の江差を支える人材を育てていきます。 
 先ず、学校給食に関してですが、心身ともに健やかな成長の基礎となる食育と保護者の負担軽減に取り組む観点から、先の第5回臨時会で予算を議決いただきましたとおり、中学生以下幼児を含めた給食費の完全無償化によって子育て世代の負担軽減につなげていきます。また、高校生以下の医療費の無償化も継続してまいります。
 次に、2期目に制度化した「江差町子どもの未来応援事業」について、学習塾や通信教育費に加えて、新たに習い事や部活動などの経費を対象とし、家庭の経済状況に左右されることなく児童・生徒の学力向上はもとより校外活動に携わる機会の創出を支援してまいります。
 また、江差で生まれ育った子どもの保護者を対象に小学校入学時に「(仮称)教育支援金」を新たに創設しながら、子育て世帯を支援してまいります。
 園児や児童の環境整備につきましては、現在、父母会で運営している水堀学童保育所の町立化への移行や老朽化する北部保育園2園の統合を進めてまいります。
 子どもの遊び場の充実は、北の江の島構想拠点施設の遊び場もその一つですが、江差小学校への新たな遊具について、児童会を通じニーズを十分に拾い上げながら整備を進めるほか、運動公園においても、中高生の意見も取り入れながら多目的に活用できる広場として整備をし、気軽にスポーツ活動や交流できる環境を作ってまいります。
 また、道内プロスポーツ団体と協力し、各種スポーツの交流や体験活動などスポーツ環境の充実に努めてまいります。
快適で安心して子育てをするためには住環境が重要な要素の一つであるものと考えております。子育て世帯が、住宅の新築や中古住宅の購入、あるいは既存住宅の増改築などを行う際の財政的な支援制度の構築を検討してまいります。

 

3.「不幸ゼロのまち」のさらなる推進

 「不幸ゼロのまち」は、人口約7,000人の町で町民と行政が近いからこそ、また、町内会や団体活動が盛んな江差町だからこそ、この施策が掲げられ目指せると考えており、町民の皆様が安心して生き生きと暮らし続けられる環境を整えてまいります。
 地域福祉計画や高齢者福祉計画といった各種計画の理念を踏まえつつ、2期目に掲げた自殺者ゼロ、孤立死ゼロなど9つの項目に加え、「性的差別ゼロ」と「ハラスメント被害ゼロ」「DV被害ゼロ」も新たな施策として盛り込んでまいります。
 「性的差別ゼロ」については、性別による差別の解消を目指すことは当然のことではありますが、性的指向や性自認など、性の多様性を認め、尊重し合う施策が全国の地方自治体で広がってきております。江差町においても、偏見や差別をなくし、心を安んじて暮らしていけるように必要な施策を実施してまいります。
 「ハラスメント被害ゼロ」については、あらゆる場面においてすべてのハラスメントによる被害がなくなることを目指します。中でもパワハラやセクハラ、マタハラなどの防止、対策については、労働施策総合推進法や男女雇用機会均等法及び育児・介護休業法が改正され、事業主や労働者の義務や責務が本年4月から義務化されたところであります。今後は、企業や各種機関、団体と連携を図りながら、地域全体でハラスメントを行ってはならないことに対する関心と理解を深め、立場的に弱い方々が不利益を受けることがないよう、広報・啓発や研修などの取り組みを進めてまいります。
 「DV被害ゼロ」については、いかに早期に把握するかが大変重要であるため、地域の方々や、包括連携協定を締結している企業等を中心に関係各機関などとの連携を図りながら、早期発見、あるいは抑止するための方策を実行していきます。
こうした項目を役場内において課題整理を進めたうえで、各種機関や団体、企業と連携を図りながら、地域全体で不幸ゼロの理念を共有できるよう、広報・啓発や研修などの取り組みを進めてまいります。

 

4.次代を創る産業を確立

 農業・漁業は、地域を支える基幹産業ですが、生産者の方々の高齢化が進んでおり、担い手の育成・確保が急務であるとともに、生産基盤の整備や経営体質の強化を進め、安定的な生産体制を将来にわたって確保していくことが重要です
このため、農業では、家族経営を主体としつつ、関係機関との連携などによる新たな担い手の育成・確保をはじめ、省力化や品質向上を図るため、北部地区の農地基盤整備事業の計画的な推進を図ってまいります。また、未来の農業を見据え、農業用ドローンの活用など、ICT技術を駆使したスマート農業の推進に取り組んでまいります。
 漁業では、海域の特性に合った栽培漁業の推進が課題となっておりましたが、本年度から、企業版ふるさと納税を活用した「豊かな前浜づくりプロジェクト」がスタートします。江差港内で実施される「トラウトサーモンの海面養殖実証試験事業」では、養殖環境遠隔モニタリング装置などのICT機器を設置し、一歩先の養殖事業を展開してまいります。
 また、既に檜山海参(ヒヤマハイシェン)として、特定農林水産物等(日本地理的表示GI)として登録されている江差産ナマコの増殖事業にも取組むこととしており、この2つの事業により新たなブランドの創出と、新たな生産体制づくりを重点的に進めてまいります。
 地域の中において、これまで「町の台所」として機能してきた商店街ですが、人口減少や高齢化の現状にあっては、経営を維持させることが厳しい状況にあります。このため、「商店の街」から、地域住民やコミュニティが期待する多様なニーズに応え得る「生活を支える街」へと捉え直し、持続可能な商店街づくりを官民連携のもと進めてまいります。
 観光の振興に関しては、町の強みである歴史や文化、自然といった地域資源を戦略的・効果的に活かしていくことが重要であり、「日本遺産」と「日本で最も美しい村連合」という江差町が持つ、二つのブランドを最大限に活かす取組みを強化してまいります。また、北海道江差観光みらい機構と連携し、「北の江の島構想」の具現化を着実に進めながら、地域経済が循環する「稼ぐ観光」を目指してまいります。

 

5.地域資源である「風」を生かすゼロカーボンシティ

 次に、再生可能エネルギーについてです。
 気候変動問題は、地球規模の課題であり、国や自治体だけに止まらない課題であります。
 国は、2050年までに「温室効果ガスの排出を全体としてゼロにし、脱炭素社会の実現を目指す、カーボンニュートラルを目指す」と宣言しており、わが町といたしましても、風力などの地域資源を活用し、再生可能エネルギーを地域内で最大限導入できるようその取り組みを着実に推進することで、国のエネルギー政策に協力していく考えであり、環境が整った段階でゼロカーボンシティ宣言を行う予定です。

 

6.住民への情報伝達

 コロナ禍に公式LINEアカウントを開設し情報発信に努めてきましたが、町民の皆様が安全で安心な毎日を過ごしていただける機能として有効であり、今後は、災害はもとより火災など緊急性の高い情報の発信に拡大するとともに、行政情報発信を充実させるため、ホームページのリニューアルに取り組んでまいります。こうした媒体に高齢者がアクセスしやすい環境をつくるため、スマホ教室の開催などで普及に努めてまいります。

 

7.結びに

 コロナ禍の収束が見通せない状況など複合的な要因が重なりながら、地球規模で不安定感を増す社会経済情勢はわが町にも大きな影を落としており、先行きは厳しい状況であると考えます
国や道の施策を活用することはもとより、これまで進めてきた北海道教育大学やはこだて未来大学、サツドラホールディングス株式会社などとの連携をより一層強めるとともに、江差町が江差町であることの輝きを保つために町独自の政策を臨機応変に打ち出しながら、町民や地域経済を下支えし、光を見出せるまちづくりに努めてまいります。
 政策を進めるにあたっては、「最少の経費で最大の効果をあげる」という自治体運営の基本原則を常に念頭に置き、中長期的なコストの縮小と予算の平準化を図っていきます。
人口減少や少子高齢化、各産業の担い手の減少など、わが町を含む地方の抱える課題は深刻です。こうした課題に「特効薬」はありません。一つひとつの施策を着実に推進していくことが大事だと考えています。国からの地方交付税などによって支えられている財政運営でありますが、都市部からみて地方は決して「お荷物」などではありません。地方は、国土を保全し、食料やエネルギーを生産するなどで国の「安全保障」を支えているとともに、都市部に人材を輩出しています。

 地方はまさにこの国の活力の源です。特に江差町は、先人が培ってきた固有の文化資源があり、魅力ある農水産物の供給、風力を中心とした自然エネルギーを生産できる可能性に秘めた地域です。東京生まれの私が8年前、「魅力ある江差の活性化が不可能なら、この国の行く末はない」と感じて町長選挙に立候補した時の思いを忘れることなく、常に誠実に、時に大胆に町政運営にあたっていく所存です。
 第6次総合計画や各種施策における計画のほか、昨年度策定した「中期財政運営方針」や老朽化が進む公共施設等に関する「江差町公共施設等長寿命化計画」も政策の立脚点としながら町民から信頼される役場づくりに向け、私が先頭にたち、職員と一丸となって前進させてまいりますので、議会議員の皆様、町民の皆様のご協力をよろしくお願いいたします。
 以上、私の政策公約に基づき、今後4年間の中で目指していく町政運営の一端を申し述べ、所信表明とさせていただきます。

 

 

 

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